脳に老廃物が溜まって固まると、アルツハイマー病に。
その正体は、「アミロイドβ」という たんぱく質のゴミだった。
この蓄積が、引き金になるのだ。
ワシントン大学 医学部 神経学教授 ジョン・モリスさんの研究。
蓄積は、25年ほど前から始まる。
予防するヒントは、「洗面台」。
産出量は同じだけれど、排出量に違いがあったのだ。
2017年5月17日放送の「ガッテン」より、「これが世界最先端! 夢の“認知症”予防SP」からのメモ書き。
その前半です。

□ アルツハイマー病と脳のゴミ

多くの人が気にするようになった病気、「認知症」。
アルツハイマー病は世界で、わずか3秒の間に、1人ずつ増えているのだそう。
今、認知症は、予備軍を含めると、高齢者の4人に1人。
その認知症の7割近くを占めているのが、アルツハイマー型認知症なんです。

このアルツハイマー病は、治療がとても難しく、なかなか予防もできないと、されてきました。
ところが、近年、アルツハイマー病の研究が急速に進展。
これまでの常識が、次々に覆ろうとしているんです。
アメリカの研究者は、断言しました。
「アルツハイマー病は、予防できます」
「そう信じているからこそ、私は研究に挑戦し続けているのです」
なんと、アルツハイマー病を予防できる可能性が、ついに見えてきたのだという。
その内容とは?
番組冒頭、スタジオに登場したのは、脳の模型です。
人間なら、考えない人はいませんが、考えた時、脳の中で何が起こっているのか?
実は、あるものが、脳の中で生まれてるんです。
それは、ゴミ。
つまり、「脳の老廃物」が出ている。
「脳のゴミ」=脳の神経細胞を使うと出る老廃物。
問題なのは、こんな状態になること。
脳のゴミが集まる → 固まる → 脳が縮む
これが、「アルツハイマー病」なのだ。
こんな画像もあります。

健常者の脳に写っている粒々は、小さな細胞。
アルツハイマー病の人の画像で、シミのようになっている部分がありますよね。
これは、神経細胞が死んでしまった部分。
というのも、脳のゴミが集まると、周りの神経細胞を傷つけてしまうというのだ。
東京都健康長寿医療センター。
神経画像研究チームの 石井賢二 部長は、認知症研究のスペシャリストなんです。
あのシミの正体を、石井先生に教えてもらいましょう。
あれは、「アミロイドβ」という たんぱく質のゴミ。
これが溜まると、脳の中に、「老人斑(シミ)」ができるのだという。
これは、アルツハイマー病の特徴の一つ。
アミロイドβの蓄積こそ、アルツハイマー病の引き金だと考えられているんです。
そして今、最先端の研究では、アミロイドβが どれくらい溜まっているのか、正確に捉えられるように なっているのだという。
その様子を映像化したのが、こちら。

アミロイドβは、時間をかけて、このように少しずつ溜まっていくのだと考えられている。
この蓄積を抑えることが、予防のカギになるのだ!
脳のゴミ自体は、誰にでも出るようです。
でも、シミ状態にならない人と、残念ながら なってしまう人の境目は、どうなってるんだろう?
どんな差があるの?
□ アメリカの研究

どうすれば、アミロイドβの蓄積を抑えられるのでしょうか?
それを知るために向かったのは、アメリカはセントルイス。
ワシントン大学だ。
アルツハイマー病の研究で世界をリードするこの方に、お話を伺いました。
ワシントン大学 医学部 神経学教授の ジョン・モリスさん。
モリスさんは、力強く言いました。
「アルツハイマー病は、予防できます」
「そう信じているからこそ、私は研究に挑戦し続けているのです」
ここでスタジオに、この研究の軸となる、大事なグラフが登場。
ガッテンボーイの宮森右京くんが、持ってきてくれました。
(蝶ネクタイなのはユニフォームだからであって、貴重なデータだからではありません ^^) )
5年前に報告された、アメリカの研究。
世界があっと驚いたデータだという。
これは、アミロイドβが、人間の脳の中で蓄積していく様子を、ごく初期の段階から調べていったデータです。

だんだん蓄積して、やがて発症しているのが分かりますね。
そして、前段階として、「軽度認知障害」が。
軽い物忘れなどが起きるという。
これが生じたのが、5年前。
さらに、このグラフだと、蓄積が始まったのが、25年前らしい。
つまり、アミロイドβは アルツハイマー病発症の25年ほど前から溜まり始める。
それが分かったんです。
じゃあ、予防するには、どうしたらいいんだろう?
ジョン・モリスさんは、それについて、こう言っています。
「それは、洗面台に例えることができるだろう」
これだけでは何のことか分かりませんが、グラフを見れば一目瞭然。

アミロイドβの産出は、健常者もアルツハイマー病患者も、同じです。
しかし、アミロイドβの排出は、アルツハイマー病患者の方が悪い。
つまり、できる量は同じだけれど、排出量が少ないから、蓄積してしまうと。
アルツハイマー病は、アミロイドβの排出と関係があった。
モリスさんは、こうおっしゃっています。
「普通なら アミロイドβが生まれる量と排出される量は、同じくらいです」
「たとえ蛇口から流れ出る水が普通であっても、排水溝がふさがれていたら、水は溜まっていきますよね」
「アルツハイマー病は、このアミロイドβの排出量の低下が原因だと、考えられるのです」
集まって固まってしまったアミロイドβは、流れて去っていかないらしい。
でも、バラバラに存在しているような時は、流してしまえる。
ということは、アミロイドβの排出さえしっかりしていれば、アルツハイマー病の予防ができるということになります。
しゃあ、何をすればいいんでしょう?
それは、後半で。


後半に続きます。
ちょっと待ってね。