今回のテーマは、「食中毒」。
<バーベキューでの注意点>
クーラーボックス、保冷剤の入れ方。
トングや箸は、焼く用と取り分け用に分ける。
肉を焼く時は、中心が褐色になるまで火を通す。
野菜と肉は、別々の容器に。
おにぎりは、ラップやビニール手袋で。
虫刺されは、ブヨに注意。
咬まれたら、冷やして血管を収縮させる。
<スイセンとニラの見分け方>
ニオイに差が。
<夏風邪に似た病気>
夏型過敏性肺炎。
トリコスポロンがいそうな場所。
洗濯籠に注意。
ドクネット:慶応義塾大学 保健管理センター 森正明 先生。
東京顕微鏡院 食と環境の科学センター 伊藤武 先生(獣医学博士)。
ゲンキリサーチャー:ザ・たっち(たくや&かずや)。
2016年6月19日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ その腹痛・風邪はもしや…? ~ 夏の身体事件簿」「注意 食中毒! 素手おにぎり」からのメモ書きです。

□ バーベキューと食中毒

まずは、消費者庁の、こんなデータから。
バーベキューで食べたものが原因で体調を悪くしたことがある人は、6.6%。
2000人中、132人に、食中毒の疑いがあったんです。
というわけで、今回は、夏のトラブルを大調査。
バーベキューに潜む、食中毒を招く危険な行動とは?
夏風邪かと思ったら、意外な病気だった?
ニラだと思って食べたら、違うものだった?
「夏の身体トラブル」について!
まずは、夏のレジャーから。
訪れたのは、埼玉県比企郡にある、嵐山渓谷バーベキュー場です。
食中毒菌に詳しい先生に、同行してもらいましたよ。
東京顕微鏡院 食と環境の科学センター 伊藤武 先生(獣医学博士)です。
さてさて、どんな危険が潜んでいるのやら。
それぞれのお肉には、以下のような菌が付着している可能性が。
牛肉:O(オー)157(腸管出血性大腸菌)
鶏肉:カンピロバクターとサルモネラ属菌
魚類:腸炎ビブリオ
潜伏期間は菌によって異なり、数時間から数日。
発症すると、「下痢」「嘔吐」「腹痛」などが、数日間続く。
また、食べた量や体調、年齢などによっては、命の危険も…。
特に夏場は、食材管理に注意が必要なようです。
にもかかわらず、楽しい雰囲気に流されて、怠ってしまいがち。
専門家に、予防法を教えてもらいましょう。
<バーベキューでの注意点>
・外気温での解凍は、危険!
溶けると同時に温度が上がるので、菌が増えてしまう。
じゃあ、クーラーボックスを使ったら、大丈夫?
ここで、実験です。
冷凍肉をクーラーボックスに入れ、30℃の保温庫に 3時間置きました。
すると、クーラーボックスの中の温度は、25.7℃に。
冷凍肉の表面も、17.1℃まで上昇していた。
もし、肉に大腸菌が付着していた場合、どうなってしまうのでしょうか?
なんと、8倍にまで増殖していた。
この場合、高齢者やお子さんだと、食中毒になる可能性が。
クーラーボックスを使う時は、保冷剤や氷を入れた方がよさそうですね。
でも、それにも、やり方がある。
日本バーベキュー協会の 下城民夫さんに、教えてもらいましょう。
<保冷剤や氷の理想的な入れ方>
(1) 冷気は上から下にさがるので、保冷剤は一番上に置く。
(2) 冷気が回るように、食材は入れ過ぎず、中に空間を作るようにする。

隙間なくギッシリと食材を詰め込むと、冷気が下がっていく通り道がなくなるので、下の食材が冷えません。
あえて隙間を作ることで、冷気が隅々まで行き渡り、下の方でもよく冷える。
保冷剤が複数個ある場合は、食材の間に入れるのも 効果的。
続いては、肉の焼き方です。
<肉を焼く時の注意点>
・生肉を触ったトングで、肉を取り分けない。
肉に菌がいた場合、トングに付着してしまいます。
同じトングで取り分けると、その菌が、焼いた肉へ。
トングや箸は、「焼く用」と「取り分け用」を使い分けましょう。
そして、やりがちなこんなことにも、注意点が。
<特製ダレで肉を漬け込む>
食中毒菌は通常、肉の表面にしか付着しません。
しかし、もみ込むことで、タレと共に、肉の筋などから食中毒菌が侵入。
なので、中心が褐色になるまで、十分に火を通しましょう。
<肉と野菜をカットして、焼きそばセットに>
生肉の細菌が、野菜に くっつくことがあります。
なので、肉と野菜は別々の容器に入れた方がいい。
<素手で握った おにぎりを焼く>
おにぎりの被害で多いのが、黄色ブドウ球菌。
これは、手の傷などに付着しやすいんです。
素手で握ることで、これが おにぎりに付着。
増殖すると、食材内に毒素を出します。
菌は加熱すると死滅しますが、毒素自体は消えません。
したがって、保管状態の悪いものは、たとえ焼きおにぎりにしても、危険なのです。
おにぎりは、ラップやビニール手袋などを使うと、安全。
気をつけましょう。

□ ドクネット
慶応義塾大学 保健管理センター 森正明 先生に、教えていただきます。
同じものを食べても、食中毒になる人と、ならない人がいる。
これは、どういうわけなんでしょう?
胃酸による殺菌力や、腸内環境の抵抗力に、個人差があるようです。
また、夏バテなど、その時の体調が影響する。
<食中毒かな? と思ったら>
基本的に、下痢は止めない。
脱水状態にならないよう、水分補給を行いましょう。
高齢者やお子さんなど、様子がおかしかったら、医療機関へ。
<虫刺され>
ブヨに注意。

ブヨ、正式名称「ブユ」。
蚊とは違い、皮膚を噛みちぎって、血を吸います。
その際に、毒素を体内に注入するので、蚊に咬まれた時よりも かゆく、痛みを伴うことがある。
ブヨに咬まれると、強い反応が起こります。
対処としては、応急処置として、毒素の広がりを防ぐために、冷やして血管を収縮させるとよい。
その後、皮膚科を受診しましょう。
□ ニラとスイセン

ニラと間違えて、あるものを食べ、食中毒になるというケーズが。
そのあるものとは、「スイセン(水仙)」。
なんと、今年に入って、すでに、26人もの被害が。
東京都は小平市にある、東京都薬用植物園。
植物の生態に詳しい、中村耕 主任研究員に、お話を伺います。
ニラとスイセンは、こんなに似ているんです。

スイセンの花は5月に散ってしまうため、目印となるものがなく、見分けがつかない。
<食中毒になる理由>
スイセンの中には、リコリンなどの「アルカロイド(自然毒)」が含まれている。
なので、誤食してしまうと、下痢や嘔吐などの食中毒症状を、引き起こしてしまうのです。
では、誤って食べないようにするためには、どうしたらいいのでしょう?
<スイセンとニラの見分け方>
ニラ独特のニオイに対し、スイセンは無臭です。
そのまま嗅いで分かりづらい場合は、葉をちぎって揉むと、はっきりとニオイの違いが分かる。
□ 夏風邪に似た 危険な病気

夏風邪に似ている、意外な病気があるそう。
[体験談]
58歳の男性。
最初は、熱とセキで、風邪かな? と思ったそう。
一番 苦しかったのは、息切れ、呼吸困難だったという。
お医者さんに行くと、担当医師の判断で、入院することになりました。
1週間後に 一時退院したところ、家に帰って3日くらいで、また熱が出て、呼吸困難になった。
やがて、病気の正体が判明。
それは、「夏型過敏性肺炎」だった。
男性を診察した先生に、教えていただきます。
昭和大学医学部 内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門の 相良博典 教授。
夏型過敏性肺炎で一番多いと言われているのが、カビの一つ、トリコスポロンが関係しているアレルギー性の肺炎。
夏型過敏性肺炎とは、カビなどを吸い込むと発症する、アレルギー性の肺疾患。
発熱やセキ、呼吸困難などの症状が現れ、肺の組織を破壊することも。
入院などで症状が改善しても、抗原であるカビが生息している家に戻ると、再発する可能性が。
6月から9月頃までの、夏季をピークに発症する。
この病気の原因となるカビの代表格が、「トリコスポロン」。
どこにでもいる一般的なカビの一種ですが、気温が20℃以上、湿度90%以上になると、活動をはじめ、高温多湿になるほど、繁殖します。
では、そんなカビは、家のどこに潜んでいるのでしょうか?
専門家に聞いてみましょう。
NPO法人 カビ相談センターの 高鳥浩介 理事長。
「住宅の中に水回りがあると、トリコスポロンは住みやすいということになるでしょう」
<トリコスポロンがいる可能性が高い場所>
・洗面所
・バスルーム
・窓のサッシ
・エアコンの内部
・洗濯籠(せんたくかご)
見落としがちなのが、洗濯籠。
洗濯籠の中に洗濯物が入ると、湿度が高くなる。
微生物が発生しやすい環境に、なっちゃうんです。
番組の実験では、24時間後、およそ30倍になった。
活性状態のトリコスポロンが付着した洗濯籠に、洗濯物を再び入れてしまうと、洗った後に、トリコスポロンが付着。
しかも、トリコスポロンは、洗濯や天日干しでは死滅しない。
よって、ずっと衣類に付着したままに。
さらに、洗濯したものを再びそのカゴに入れてしまえば、無限ループ状態に。
それを防ぐために、洗濯籠はアルコール消毒して、風通しのいいベランダなどで、干しましょう。
風邪とは違い、夏型過敏性肺炎では、鼻水はほとんど出ません。
また、旅行などで自宅を離れると症状が改善したりする時は、夏型過敏性肺炎の疑いが。
レジャーなど楽しいことが多い夏ですが、くれぐれも健康には気を付けて!



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