今回のテーマは、「糖尿病」と「血糖値コントロール」。
「野菜を先に食べるといい」って、本当?
<ジェットコースター血糖値>と<メリーゴーランド血糖値>。
水よりお酒の方が、血糖値を上昇させない?
シメのラーメンの理由。
糖尿病の人は、4.6倍も認知症になりやすい。
ドクネット:
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 西村理明 准教授。
2015年11月8日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~『野菜から食べると良い』は本当?~ 血糖値コントロールの極意」からのメモ書きです。

□ 野菜を先に食べるとよい?

いきなり、恐ろしい情報から。
「世界で6秒に1人が死亡している病気、それが糖尿病なんです」
さらに、こんな話も。
「糖尿病は血管をボロボロにするだけでなく、認知症のリスクを高めることも分かってきている」
ゲンキリサーチャー初登場の X-GUN(バツグン)が、専門家を訪れました。
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 准教授の、西村理明 先生。
まずは、ウワサの検証からです。
「野菜を先に食べるといい」って、本当?
<食べる順番の実験>
ご飯と野菜の食べる順番を変えることで、血糖値がどう変動するか、比較します。
(a) おにぎり → 野菜サラダ
(b) 野菜サラダ → おにぎり
どちらも、糖質50g 分です。
結果はというと、(b)の野菜から先に食べる方が、血糖値の上昇が緩やかになりました。
野菜には、食物繊維が入っています。
それが吸収をゆっくりにするので、血糖値が急激に上がらなくなるのです。
<野菜を先に食べる利点>
食物繊維が血糖値の上昇を抑制し、よく咀嚼(そしゃく)することで満腹感も得られる。
<メリーゴーランド血糖値への極意(1)>
最初に、両手1杯分の野菜を食べるべし!

□ ジェットコースター血糖値

さて、どうして、血糖値が一気に上昇すると、よくないのでしょう?
西村先生に、教えていただきます。
理由は、「血管が傷むから」だという。
正常な血糖値は、メリーゴーランド。
変化が緩やかです。
しかし、糖尿病の可能性が出てくると、ジェットコースターのようになる。
血糖値が激しく上下するようになるんです。
<ジェットコースター血糖値>
この状態が続くと、糖が血管の内側を、ヤスリのようにこするため、血管が傷つき、ダメージを受け続けます。
これにより、様々な合併症が生じてしまう。
目の網膜の毛細血管に障害が出る → 網膜症
腎臓に障害が → 腎症
神経や末端の血管に障害が起きる → 神経障害・えそ
さらに、糖によるダメージは、「大血管障害」を引き起こすことだってあります。
高血糖などが原因で、心臓の血管が細くなることも。
糖尿病の人は、心筋梗塞や脳梗塞の発症率が、3~5倍高いというデータも。
糖尿病は、血管をボロボロにする病気なのです。
□ お酒との関係

続いては、お酒と血糖値についての実験です。
「お酒を飲む・飲まないで、血糖値はどう変動するんでしょうか?」
(A) 肉じゃが1人前80g + 水 170ml
(B) 肉じゃが1人前80g + 焼酎の水割り 170ml
(水割りは、焼酎6:水4 の割合)
3名の方が実験を行ったのですが、そのうちの1名は、(B)の方が血糖値の上昇が緩やかになっていました。
もう1名も、わずかですが血糖値が低かった。
これは、どういうことなんでしょう?
西村先生によると、アルコールを摂取すると、肝臓から糖が出にくくなるそうです。
アルコールは血中に糖を放出するのを抑制するため、血糖値が上昇してないように見えるんですね。
しかし、だからといって、お酒を飲むことが奨励されるわけではありません。
お酒には、こんな問題点が。
アルコールには食欲増進作用があり、おつまみを食べ過ぎてしまう危険が。
アルコールの作用で血糖値が上がらない → 満腹感がない → ダラダラ食いに。
お酒のあとといえば、「シメのラーメン」。
これは、アルコールの血糖値を抑える作用が、遅れてくるタイプ。
食事を開始してから、2~3時間後に血糖値が下がるので、空腹感が。
しかも、お酒を飲んでラーメンを食べた後は、寝るだけ。
糖を消費できずに、高血糖が続いてしまうことになるんですね。
また、血糖値の上昇が、いつもと変わらないタイプも。
こちらは、満腹感が得られますが、お酒ばかりを飲むようになってしまう。
お酒一直線タイプ。
これはこれで問題です。
お酒は、ほどほどに。
また、落とし穴があることを、忘れないようにしましょう。
<メリーゴーランド血糖値への極意(2)>
自分の傾向を知って、お酒と付き合うべし!
□ クイズ
Q)ジェットコースター血糖値をふせぐために一番最初に食べたいおつまみは?
(A) 枝豆
(B) キュウリとワカメの酢の物
(C) ひじき煮
正解は、(B) キュウリとワカメの酢の物。
酢自体にも、食べ物の吸収を遅くする作用があります。
さらに、キュウリとワカメは、食物繊維が豊富。
これも吸収を遅くしてくれます。
ちなみに、枝豆は、100gあたりのエネルギー量が、他の野菜と比べて、高めです。
ひじき煮も食物繊維が豊富なのですが、みりんや砂糖など、血糖値を上昇させる調味料が隠れている可能性が。
Q)次のおやつのうち、ジェットコースター血糖値になりにくいのは?
(A) どら焼き
(B) カステラ
(C) シュークリーム
正解は、(C) シュークリーム。
あくまで、「あえて選ぶなら」です。
シュークリームは脂質を多く含むのですが、糖質が一番少ないため、血糖値はこの中だと、上がりにくいんですね。
□ ドクネット
東京慈恵会医科大学の西村理明先生に、お話を伺います。
最近、糖尿病と認知症がものすごく関係しているということが分かってきました。
糖尿病の人は、そうでない人に比べ、4.6倍も認知症になりやすい。
<メリーゴーランド血糖値への道>
血糖値の上昇を穏やかにする極意とは?
<事例(1)>
趣味のカメラを持ち、歩くようになった。
楽しみがあるので、苦になりません。
<事例(2)>
友達の犬と一緒に、毎日1時間以上散歩するようになった。
ストレスで暴飲暴食、というパターンが多いようです。
楽しみを見つけて歩くのが、よさそうですね。
「運動しなくてはいけない」では、続かないことが多い。
でも、「楽しく運動する」とか「趣味で運動する」なら続きやすいってわけ。
<糖尿病の予防と改善>
1日当たり、男性で9000歩、女性で8500歩、5~6kmを目標に歩くとよい。
食後30分に、早足ウォーキングを30分間行うのがおススメだそうです。


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