全身の不調は、足が原因?
足の検診で、チェック。
<アーチの崩れの影響>
・外反母趾(親指の脱臼)。
・足底筋膜炎。
・神経を踏む歩き方。
・ひざ痛、腰痛、肩こり。
<片足立ちチェック>
<簡単アーチチェック>
予防には、アキレス腱伸ばし。
間違いと、正しい方法。
<皮膚トラブル>
タコとウオノメの違い。
爪の水虫対策。
ドクネット:足の診療所 桑原靖 院長(形成外科医)。
ゲンキリサーチャー:X-GUN。
2016年6月12日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「解明! 足裏トラブル」「足裏で分かる! 腰痛ひざ痛」からのメモ書きです。

□ アーチの崩れで 外反母趾に

番組冒頭、お医者さんから、驚きの発言が。
「ヒザや腰の痛み、姿勢の悪さは、足に原因があることが多いんです」
さっそく、足腰に悩みのある、50代の元気チャレンジャーに集まってもらいました。
Aさん、56歳 女性。ふくらはぎの むくみや疲れが、気になっている。
Bさん、53歳 女性。睡眠時に足がつったり、肩こり、ひざ痛に悩んでいる。
Cさん、55歳 男性。歩いていると、右足がつまずく。右足の踵(かかと)に鈍痛。親指がしびれる。肩こり、ひざ痛も。
東京都は港区にある、「足の診療所」。
ここで、ゲンキリサーチャーの X-GUN(ばつぐん)と共に、「足の検診」を受けてもらいます。
足の検診では、皮膚や爪の状態はもちろん、筋力チェックや骨の配列、関節の可動域、じん帯や腱の柔軟性、神経や血流まで、幅広く検査。
荷重検査では、立った時の足裏にかかる圧力を測定します。
この検査から、現代人が持つ「ある症状」が発覚しました。
診断してくれるのは、足の診療所 院長で形成外科医の、桑原靖 先生。
実は、さがねさん以外、全員、アーチが崩れていることが分かった。
アーチとは、土踏まずにある きれいに弧を描いた部分。

アーチは、「親指の付け根」「小指の付け根」「かかと」の3点を結ぶ じん帯と筋肉で構成されています。
足には、人の身体にある骨の1/4もが集まっており、まさに精密機械のような場所なのだ。
アーチは、その骨と共に身体を支える「土台の役割」をしているのです。
人間が二足歩行を長時間行えるのも、アーチのおかげ。
唯一 人間だけが持つ、珍しい機能なんだって。
階段の昇り降り、物を持ち上げるなど、様々な動作ができるのも、アーチがあるから。
荷重検査の画像。
(a)では、アーチを結ぶ3点に、しっかりと体重がのり、くびれもきれいです。
(b)では、内側の方に、体重が かかっています。
くびれも少なく、土踏まずの面積が増えてしまっている。
他の3人も、体重のかかり方がバラバラ。
アーチに崩れが。

アーチの崩れは、現代人のほとんどに起こっているのだとか。
原因は、年齢、遺伝、肥満、骨格構造、激しい運動や運動不足など、様々な要因が重なって起こるそうです。
<アーチの崩れの影響(1)>
外反母趾(がいはんぼし)
Bさんは、外反母趾でした。
親指の部分が、脱臼(だっきゅう)している。

重なり合うはずの関節がズレ、つなぎ目が外れてしまっています。
外反母趾の初期は、関節が外れかけているため、痛みが出る。
しかし、完全に脱臼してしまうと、痛みが弱まって 治ったと勘違いし、放置してしまう人が多いのだとか。
外反母趾というと、「ヒールなどの靴が原因」「女性の病気」というイメージがありますよね。
でも、これは、必ずしもそうではない。
靴が原因でなり得るんですが、外反母趾というのは踵が原因で起こることが多い。
理由は、レントゲンを見れば分かります。
正常な人は、踵の真ん中に線を入れると、地面から垂直、まっすぐになっている。
一方、外反母趾の人は、踵の中心線が斜めに。

踵が、傾いているんですね。
この傾きを引き起こしている要因の1つが、アーチの崩れなんです。
アーチが崩れる → 踵が傾く → 親指の骨が捻じれる → 外反母趾に
アーチの崩れがひどくなるほど、外反母趾も加速してしまう。
□ 足底筋膜炎

アーチの崩れは、他の病気も引き起こします。
右足の踵が痛むという、Cさん。
歩いている時は何ともないのに、朝 起きた時や、帰宅後 くつろいだ後の立ってからの数歩にのみ、痛みを感じるといいます。
<アーチの崩れの影響(2)>
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
足底筋膜炎とは、足の裏の表面に張っている厚い膜に、細かい亀裂が入り、炎症を起こしてしまう病気。
アーチが崩れると、足底筋膜も一緒に引っ張られてしまい、その付け根である踵に痛みが起こる。
中高年に多く、日本人の5人に1人が、足底筋膜炎を一度は経験するらしい。
□ 片足立ちチェック

簡単にチェックする方法があります。
それがこれ。
<片足立ちチェック>

Cさんは、これができませんでした。
右足では、大きく身体がブレ、手でバランスを取らねばならない状態。
左足は、一瞬もキープできません。
実はこれが、アーチの崩れの怖さなのです。
アーチには、クッションのように伸び縮みすることで、体重を分散させる働きがある。
しかし、アーチが崩れているということは、このクッションが無いも同じ。
なので、足本来の力を発揮できず、片足立ちもできないのです。
他にも、アーチは、着地の際の衝撃を吸収する役割も。
そのため、アーチのクッションが機能しなくなると、こんな症状が。
Cさんは、長時間歩くと、親指がしびれる。
<アーチの崩れの影響(3)>
神経を踏む歩き方。
まずは、歩行チェックを。
「足底圧計」で、歩いた時の足裏にかかる圧力を測定。
Cさんは、ベタッと足を着き、着地の面積が広いようです。
着地の面積が広い → 神経を踏む可能性が
アーチが崩れたこの歩き方だと、親指につながる神経を踏んでしまうことがあるため、しびれを引き起こすと考えられる。
もっと深刻な問題も、引き起こすようです。
Cさんの歩き方を観察すると、外側を向いているヒザが、内向きに動いているのが分かった。
これは、アーチの崩れをヒザで立て直そうとしている証拠。
ヒザが内側に入る動きが負担となり、「ひざ痛」になることも。
さらに、姿勢を見ると、腰が反り、顔が肩より前に出て、さらに、右肩下がりに。
実はこれも、アーチの崩れを戻そうと、上半身でバランスを取った結果なのです。
これらは、首や肩のコリ、腰痛の原因になると、考えられている。
<アーチの崩れが、全身に影響>
足元のちょっとした崩れが、様々な関節で少しずつズレを生んでゆき、やがて、全身の崩れへと、つながってしまうようです。
健康になるためには、足裏を見直したほうがいいかも。
□ アーチをチェックする方法
<簡単アーチチェック>
(1) 踵から指を沿わせていくとぶつかるアーチの上にある骨に、印をつける。
(2) 座った時と、立った時で、どのくらい印の位置が変化するか、測定します。
(3) 印が 1センチ以上変化すると、アーチが崩れている可能性が 大。

□ ドクネット&アキレス腱伸ばし
日本初の足専門クリニック「足の診療所」の 桑原靖 先生に、教えていただきます。
残念ながら、崩れたアーチは 元に戻らない。
なので、インソールなどでアーチを補整し、崩れを制御させます。
けれど、市販のインソールが必ずしも自分の足に合うとは限りません。
そういう時は、オーダーメードでインソールを作ってくれる医療機関を受診するとよい。
「フットケア外来」「創傷ケアセンター」などの医療機関で作ることが可能なのだそうです。
予防には、これが効く。
<アキレス腱伸ばし>
アキレス腱は、踵のやや外側に くっついています。
このアキレス腱が硬く縮まると、踵が引っ張られて傾き、アーチが崩れてしまう要因に。
日頃から、アキレス腱の柔軟性を高めておくことが、大事になる。
しかし、普段やっているアキレス腱伸ばしは、間違っているかも。
<正しいアキレス腱伸ばし>
(1) 足を前に一歩出す。
この時、足同士が平行になるようにする。
また、壁に対して、垂直になるように、足を置く。
(2) 踵はつけたまま、反動をつけないこと。
壁を押すように、前のヒザに体重をかけましょう。
(3) 1日合計5分程度を目安にする。

□ 足の皮膚トラブル

足裏のトラブルで怖いのは、骨格の問題だけではありません。
皮膚にも、トラブルが潜んでいる。
ゲンキリサーチャーが受けた検診でも、ほとんどの人に、「タコ」が見つかりました。
足裏にできるものといえば、「タコ」と「ウオノメ」。
実はこの2つ、根本的には同じもの。
どちらになるかは、足への圧力の加わり方によります。
「タコ」は、指の付け根の骨など、面に圧力がかかってでき、外に向かって大きくなります。
「ウオノメ」は、骨の間や関節のくぼみなど、点にできる傾向が。
内側に皮膚が厚くなり、芯を作るため、痛みを伴うことも。
タコができているということは、アーチに何らかの崩れが生じている可能性が高い。
タコやウオノメは、皮膚の生体防御の一つ。
アーチが崩れてしまい、余計に皮膚に圧力が加わると、できやすくなるのです。
タコやウオノメは、たとえ削っても 繰り返すことが多いので、インソールを入れ、アーチを補整するなど、根本の原因となる「圧力除去」が肝心。
皮膚トラブルといえば、「水虫」も。
実は、かゆみがなくても、要注意なのです。
帝京大学医学部付属 溝口病院 皮膚科科長の 清(せい)佳浩 先生に、お話をうかがいました。
水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビが感染して、発症します。
なんと、患者の半分以上に、かゆみがないのだとか。
水虫で かゆみを伴うのは ごくわずかなため、気づいていない人も多い。
水虫は、大きく分けて、3つに分類されます。
「趾間型(しかんがた)」:指の間に症状が出る、典型的なジュクジュクしたタイプ。
「小水疱型(しょうすいほうがた)」:足の裏に、小さな水ぶくれができ、破れると皮がボロボロにむける。かゆみを伴うことが多い。
「角質増殖型」:踵が、ガサガサし硬くなる。ほとんど かゆみはなく、冬にはヒビ割れて、痛くなることも。
そして、それらの集大成が、「爪の水虫」だという。
かゆくはないけど、爪が変な形に厚くなったり、変形したりするので、痛くなることがある。

水虫で怖いのは、感染力です。
上半身に感染すると、赤く発疹のようになり、かゆみが出ることも。
頭皮に感染すると、フケが出ることもある(患部を触ったあと、頭を洗って感染)。
増殖力が強いので、家族に感染させてしまう可能性だって…。
感染源として一番注意すべきなのが、「バスマット」です。
白癬菌が角質などと一緒に はがれ落ち、次の人が裸足で踏むと、水虫が付着してしまう。
バスマットはこまめに洗濯したり、干して叩いたりして、清潔に保ちましょう。
足は、健康のかなめ。
見て、触って、しっかりとチェックしましょう!
そして、何かあったら、病院へ。
水虫ですが、白癬菌が皮膚に侵入するまでには、24時間以上かかります。
なので、足を毎日洗い、清潔にしておけば、感染はしません。
ただし、洗い方にも ポイントが。
<水虫予防>
シャワーで流すだけではなく、石鹸を使い、足の指の間まで、しっかりと洗いましょう。
自分の足で歩けてこそ、健康といえる。
足が痛いというのは、何かしらの病気が隠れている可能性があります。
内臓と同じように、足裏のメンテナンスも忘れずに!


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