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【薬の使い過ぎによる頭痛】 チェックと予防、対策/きょうの健康

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痛み止めやトリプタンなどの薬を頻繁に飲むことで、「薬剤の使用過多による頭痛」が生じることがある。

その数は推計で、人口の1~2%。うち、70%は女性だという。

月に15日以上 頭痛があって、痛み止めの薬やトリプタンを、月に10日以上、3か月を超えて服用している場合は、要注意!

気休めに飲むのは、やめましょう。

予防のコツや、治療の流れについても、紹介。



解説:北里大学 客員教授 五十嵐久佳。

司会:黒沢保裕、岩田まこ都。



2017年8月23日放送の「きょうの健康」より、「~ 3つの頭痛 最善の対策(3) ~ 薬の使い過ぎによる頭痛」からのメモ書きです。




きょうの健康 薬の使い過ぎによる頭痛




薬の使い過ぎによる頭痛


エノキ
さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ササミ
「薬の使い過ぎによる頭痛」です。

どうして起きるのか? 予防するには、どうしたらいいのか?

学んでいきましょう。





[体験談]


30歳の女性 Aさんは、もともと片頭痛持ち。

学生の時から、たまに、ズキンズキンと強い痛みがする片頭痛を起こしていました。

でも、その時は、市販の頭痛薬で、抑えられていたという。

その後、社会人になってから、仕事によるストレスが増えたためか、頭痛を起こす回数が増え、頭痛薬を使うことも増えていきました。

最近は、朝から頭痛が起こるようになり、その上、、薬がまったく効かなくなってしまいました。

しかも、毎日のように頭痛がして、苦しんでいる状態。





今回問題とするのは、「薬の使い過ぎによる頭痛」

このタイプの頭痛に悩んでいる人は、推計で「人口の1~2%」だといいます。(J Headache Pain 2010)

また、専門的な治療を受けないと改善が難しい、という特徴も。



今回は、その対策について、北里大学の 五十嵐久佳 客員教授に、教えていただきます。


まずは、薬の使い過ぎによる頭痛について。


「大原則として、もともと片頭痛とか緊張型頭痛のような、頭痛持ちの方が なるんですね」

「その方たちが、痛み止めのお薬ですとか、片頭痛の治療薬であるトリプタンを頻繁に飲んでらっしゃると、かえって頭痛が増えて、毎日のように頭が痛くなる、そういう状態を、薬剤の使用過多による頭痛と呼んでいます」




薬の使い過ぎによる頭痛は、なぜ起こるのでしょうか?


ひどい頭痛を経験した人が、頭痛を起こすことへの不安が大きくなったために、自己判断で薬を飲むようになってしまう。

すると、薬を飲む回数や量が増えてしまい、その影響で、脳が痛みに敏感になって、頭痛の頻度が増えることがあるんです。

また、頭痛が複雑化して、次第に薬が効きにくくなることも。

そうなると、さらに薬の回数や量が増えて、結果、悪循環を繰り返すようになってしまう。


頭痛の悪循環





薬の使い過ぎで、どうして痛みに敏感になってしまうのでしょう?


五十嵐先生の解説。

「実はですね、お薬を頻繁に飲むことによって、脳など中枢神経での 痛みの感受性が変化する、と考えられています」

「そうすると、少しの刺激でも、それを痛みとして感じてしまいますので、結果として、頭痛が増えてくると考えられています」




では、どういう人が、薬の使い過ぎによる頭痛なのか、そのチェック方法を紹介します。




<薬の使い過ぎによる頭痛 チェック>


 (1) もともと片頭痛や緊張型頭痛など頭痛持ちだった人が、

 (2) 現在、月に15日以上、頭痛がある。

 (3) 痛み止めの薬やトリプタンを、月に10日以上飲んでいる状態が、3か月を超えて続いている。


以上のような項目が、すべて当てはまると、薬の使い過ぎによる頭痛と診断されます。


診断基準




薬の使い過ぎによる頭痛ですが、8割が もともと片頭痛持ちの人だといいます。

というのも、片頭痛の人たちは、ひどい痛みを経験しています。

早めに薬を飲まないと、もっと ひどくなるというような、そういう体験をしているので、非常に、頭痛に対する不安とか恐怖が大きいんですね。

なので、ちょっと頭痛を感じると、早めに薬を飲んでしまう。

そうすると、気がつくと、1か月に10日以上 薬を飲んでしまっていて、月の半分は頭が痛いというような状態になってしまう。


もともと片頭痛持ちが多いということは、片頭痛は女性に多いので、この薬剤の使用過多による頭痛も、70%は女性だという。


また、毎日 片頭痛が起こるような人もいれば、片頭痛と緊張型頭痛が混在るるようなケースも多いのだとか。




原因となる薬ですが、簡単に手に入る市販薬が、圧倒的に多い。

なのですが、お医者さんが処方するトリプタンも、増えてきているのだそう。

そのため、頭痛外来などでは、月に10日以上 薬を飲まないように、処方されます。

また、患者さんにも、そのように指導するとのこと。




注意しないといけないのは、頭痛だけではなくて、月経痛や腰痛など、他の身体の痛みに対して、痛み止めを飲んでいるような場合。

これらのトータルでも、薬剤の使用過多による頭痛になり得ます。




Aさんのように、朝から頭痛になるようなケースも、多いのだとか。

原因は まだ解明されていないのですが、そういう人は とっても多いとのこと。




対策と治療


ササミ
薬の使い過ぎによる頭痛になってしまった人は、どうしたら よいのでしょう?


一番大事なのは、やはり、原因となった薬をやめること。

でも、これが、一人では、なかなか難しい。

なので、頭痛外来や神経内科など、専門医への受診が勧められます。



<治療の流れ>


 (1) 薬の使い過ぎによることを理解。

 (2) 原因となっている薬を中止。

 (3) 別の種類の頭痛薬を処方。

 (4) もともとの頭痛に合わせた、予防薬。

 (5) 薬の使い過ぎによる頭痛なら、徐々に軽減。

 (6) 経過がよければ、予防薬を減らす。



初めに、医師の説明により、薬の使い過ぎの悪循環で悪化した頭痛であることを、しっかり理解します。

そして、別の頭痛薬を使いながら、頭痛薬を飲むのを 週2日まで減らすなど、目標を作る。

こうした意識づけが できたら、まず、原因となっている薬を中止していく。


医師からは、頭痛が起きた時のために、別の種類の頭痛薬が、処方されます。

また、もともとの頭痛に合わせて、予防薬も処方される。


薬の使い過ぎによる頭痛であれば、徐々に頭痛が軽減されます。

経過が良ければ、予防薬を減らしていく。


そして、片頭痛や緊張型頭痛など、もともとの頭痛の症状に戻れば、薬の使い過ぎによる頭痛は治ったと、判断される。


治療の経過





もともとの頭痛に合わせた予防薬というのは、どういうものなのでしょう?


例えば、もともとの頭痛が片頭痛であれば、次のような薬などが。


 ・カルシウム拮抗薬(きっこうやく)。

 ・抗てんかん薬。

 ・β遮断薬(べーたしゃだんやく)。

 ・三環系(さんかんけい)抗うつ薬。



緊張型頭痛の場合は、これ。


 ・三環系抗うつ薬。




予防薬の効果は、すぐに出るのでしょうか?


残念ながら、1~2週間飲んでよくなるということは、あまりないのだそう。

最低 2か月は服用を続けて、効果をみます。




効果が出るまでの間に、頭痛が起こったら?


もともとの原因となった薬をやめてしまうと、1週間は とてもつらい状態が続く。

なので、例えばトリプタンが原因の場合だと、トリプタンの飲み薬は 5種類あるので、別のトリプタンに変えます。

市販の頭痛薬が原因の場合は、その薬に含まれていない単一成分の頭痛薬を処方するとのこと。





治療の結果、どういう状態になれば、薬の使い過ぎによる頭痛が治ったと考えていいのでしょう?


片頭痛の場合は、頭痛薬の使用が10日未満になったら、元の片頭痛に戻ったと判断する。

緊張型頭痛の場合には、気休めで市販薬を飲んでいる人がとても多いので、薬以外で、例えばストレッチや頭痛体操、ゆったりとお風呂に入るなど、そういうことで対処できるようになれば、治ったと判断します。





五十嵐先生によれば、「専門的な治療により、約70%の人はよくなる」とのこと。

ですが、「そのうち約30%の人は、1年以内に元に戻ってしまう」との報告も。

なので、よくなった後も 1年間は、専門医への通院を続けることが大事になります。



専門的な治療でよくならない場合、睡眠障害、抑うつ、不眠症などが、あることも。

ですから、必要があれば、心療内科などの先生に相談して、頭痛外来と一緒に診ていくというような、対処をとることも。





<予防と対策>


意識してほしいのが、「頭痛薬の使用を、週2日ほど、月に10日未満」を守ること。

また、「頭痛日数が多い人」は、市販の頭痛薬を使う時は、「主成分が単一の頭痛薬」を選び、主成分が複数含まれているものは、避けましょう。

そして、頭痛が起きていない時に、予防的に飲むのも、避けること。


こうしたことを守るうえで、効果的なのが、「頭痛ダイアリー」をつけるのを習慣化すること。

頭痛の起こり方や、薬の使用状況、月経やストレスなど、頭痛が起こった日の出来事を、日誌に記入します。

これで、自分の頭痛の傾向を把握できるだけでなく、薬の飲み方もチェックできる。


頭痛で医師の診察を受けている人は、月経痛や腰痛の薬など、他に飲んでいる薬があれば、頭痛薬を処方してもらう時に、医師に使用薬を、すべて伝えるようにしましょう。


予防のために


頭痛ダイアリー


「薬の使い過ぎによる頭痛の人は、ぜひ、頭痛ダイアリーをつけていただきたい」と、五十嵐先生は言います。

どういう時に頭痛が起こるのかが分かると、誘因(ゆういん:引き起こす原因)が分かることになる。

また、どういう状況で薬を飲んでいるかも、分かります。

気休めで飲んでいないか? 効いていないのに、頻繁に飲んでいないか?

そういったことも、チェックできますね。

あと、寝過ぎで頭が痛くなる場合だと、寝過ぎないようにするといった対応も可能に。

予防薬を使ってみて、どれくらい頭痛が減ったかということも、医師と一緒に頭痛ダイアリーを見ながら確認することも、できる。





最後に、五十嵐久佳 先生から。


気休めで頭痛薬を飲まないこと。

週に2日以上、頭痛薬を服用している人は、予備群になります。

そういう人は、早めに専門医を受診してください。





NHKきょうの健康 2017年8月号 [雑誌] (NHKテキスト)



頭痛女子バイブル




 → 【片頭痛】 チェック法&頭痛ダイアリー

 → 【緊張型頭痛】 予防に頭痛体操





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