今週のテーマは、「蚊に刺されない方法」。
<世界的な対策>
ビル・ゲイツ財団のビーム兵器「フォトニック・フェンス」。
ブラジルの遺伝子組み換え蚊「OX513A」。
フィリピンでは、ペットボトルを使う。
<どんな人を刺すの?>
16歳の高校生が研究。
刺されやすい人と、刺されにくい人の差は、足の常在菌の違いだった。
<対策>
足をアルコールで消毒。
ハッカ油のスプレー。
<虫よけ剤の3タイプ>
・いやがる香り。
・目隠し。
・殺虫。
使い方のコツとは?
解説:東京慈恵会医科大学 熱帯医学講座 嘉糠洋陸 教授。
2016年8月31日放送の「ガッテン」より、「人類最凶の敵! “蚊”撃退大作戦!」からのメモ書きです。

□ 蚊は人類の敵

今回のテーマは、夜中にブ~ンと うるさい、あいつ。
「蚊」です。
「みんなのうた」でも、ありましたよね。
「おいらは やぶっ蚊 吸血鬼」
「ぶ~ん! ぶ~ん!」
クニ河内さんと子どもたちが、歌ってました。
今回は、憎い蚊の撃退法を、伝授しちゃうのだ。
と、その前に、怖い話を。
なんと、蚊が、人類を滅ぼしかねないほどの、深刻な脅威だというのです。
ブラジルの ジルマ・ルセフ大統領は、演説した。
「私たちの国は蚊よりも強い! 今こそ、そのことを、証明してみせなければならないのです!」
世界的な大富豪 ビル・ゲイツまで、「蚊は人類の敵だ!」と、戦うことを宣言している。
日本も、安心してはおれません。
海外との行き来が盛んな今、蚊の脅威は、確実に高まってきている。
デング熱やジカ熱の報道も、あったばかりだ。
ありゃ?
スタジオに登場したのは、巨大な蚊?
いや、ドローンにのった、蚊の模型ですね。
ずいぶん上手に、飛ばすもんだ。
おっと、本物の蚊まで登場。
その数、なんと、1000匹だという。
ひえ~。

そして、こんな資料が登場しました。
<世界の危険な生物ランキング>
(年間被害者数)
第1位 蚊 1,000,000人
第2位 人間 500,000人
第3位 ヘビ 50,000人
第4位 イヌ 25,000人
第5位 タニシ 10,000人
第6位 ワニ 1,000人
第7位 カバ 500人
第8位 ゾウ 100人
第8位 ライオン 100人
第10位 オオカミ 10人
第10位:サメ 10人
タニシの中には、卵巣に毒を持つものがいます。
それによる食中毒で、年間 1万人が亡くなっている。
それにしても、蚊で亡くなっている人の数は、多いですね。
<蚊による主な感染症>
・ジカ熱。
・デング熱。
・西ナイル熱。
・チクングニア。
・マラリア。
・黄熱病。
・日本脳炎。
まずは、人類と蚊の、壮絶な戦いを。
第二次世界大戦の真っただ中、アメリカ軍に深刻な被害を もたらしていたのは、「マラリア」でした。
なんと、連合軍兵士の6割以上が、感染していた。
最高司令官マッカーサーは、世界で初めて、蚊の対策を行う特別部隊を組織。
本格的な掃討作戦に、乗り出したのでした。
しかし、対策部隊のリーダーである、ポール・ラッセル軍医は、その絶望的な戦いを、次のように振り返っている。
「今や人類は、この星の南北の両極にまで、到達の旗を打ち立てた」
「我々は、リヴァイアサンのように、海を割って進み、鷲よりも速く、空を飛ぶことさえできる」
(リヴァイアサンとは、旧約聖書に登場する海の怪獣のこと)
「だが、それでも毎年、何百万もの人間が、なすすべもなく殺され続けている」
「そう、あの小さな、蚊のために」
しか~し、科学の進歩と共に、蚊の対策も、飛躍的な進歩を遂げているのだ。
アメリカはシアトルにある、世界的な財団。
ここでは、先端技術を持つ大学や企業に対し、蚊を撲滅するための研究の支援を、行っている。
財団を作ったのは、ビル・ゲイツ。
5兆円もの資材を投じたそうですよ。
ビル・ゲイツは言います。
「蚊による感染症は、制圧し、根絶しなければなりません」
「私が生きている間に、必ず、達成します」
そして開発されたのが、これ。
レーザーを使って蚊を落とす、新兵器「フォトニック・フェンス」だ。
一定の空間をレーザーで囲めば、中に入ってくる蚊を、せん滅することができる。

ブラジルでは、バイオの技術が。
使うのは、遺伝子組み換えによって誕生した蚊、「OX513A」。
野生の蚊が、この蚊と交尾すると、生まれたボウフラは育たずに すべて死ぬよう、プログラムされている。
いわば、蚊に対する、生物兵器ですね。
日本では、「嫌だな~」程度ですが、世界では、深刻な問題なんです。
命にかかわる。
なので、その取り組みも、真剣そのもの。
日本だって、将来、どうなるか…。
□ 蚊に刺される意外な理由

実は、蚊が活発になる季節は、これから。
気温が 25℃~30℃の時期なのだそう。
さて、諸説ありますが、蚊は、どんな人に寄ってくるのでしょうか?
それを知るためのアイテムが、何の変哲もない、どこにでもあるペットボトルだという。
使われているのは、フィリピン。
毎年何十万人もの人が、蚊によって感染する「デング熱」に、苦しんできました。
ところが、国を挙げて、ペットボトルを使った蚊の撲滅作戦を実施したところ、首都マニラでは、デング熱の患者数が、半分以下に。
専門家の話を聞いてみましょう。
東京都は新宿区にある、国立感染症研究所。
ここに、魔法のペットボトルの生みの親がいる。
国立感染症研究所 昆虫医科学部の、津田良夫 主任研究官。
さて、ペットボトルを、どのように使うのでしょう?
ペットボトルの上部分を切って、ドライイースト(酵母菌)と砂糖、ぬるま湯を入れて、よく混ぜる。
これで発生するのが、二酸化炭素。
蚊は、動物が発生させる「二酸化炭素」に近寄ってくるんです。
そして、ここからが、本題。
蚊は、二酸化炭素がある場所にやって来て、まず、ウロウロする。
でも、二酸化炭素があっても、血を吸うわけではありません。
まだ、吸血鬼モードには、ならない。
二酸化炭素で生き物の場所を確認はするけれど、すぐに血を吸うわけではない。
では、どうやって、吸血鬼モードになるんだろう?
それを発見したのが、16歳の高校生だという。
学校でも虫博士として知られる、高校2年の男子生徒なのだ。
彼は3年以上前から、「蚊は、なぜ、人を刺すのか」をテーマに、独自の研究を続けている。
その成果は、国が主催する科学コンテストで表彰されるほど。
蚊の研究を始めるきっかけは、妹でした。
小学生の頃、よく虫捕りに出かけていたのですが、なぜかいつも、妹だけが、たくさん蚊に刺された。
妹さんには蚊のアレルギーがあって、刺されたら、うんと、ふくれてしまう。
ホントにかわいそうだな~と思って、何とかしてあげたくなった。
なぜ、同じ場所にいるのに、妹だけが刺されるのだろう?
それが、研究のスタート。
さらに、彼は実験を始める前、シンガポールに住んでいました。
そこでは、デング熱が、すごく恐れられていたんです。
これも、影響している。
さて、実験の結果、蚊があるものに反応することが分かりました。
蚊が興奮して大集合し、吸血鬼モードに。
しかも、なぜか、あちこちで、交尾まで始めちゃった。
これは、これから人の血を吸うぞ~という、特別な興奮状態になったサインだという。
蚊はいったい、何に反応したのでしょうか?
それは、「靴下」。
新品の靴下では、蚊はあまり反応しません。
しかし、履きっぱなしの靴下には、すごく反応する。
さらに、盛んに、交尾をし出しました。

蚊が反応する靴下が臭いのかというと、そうではありません。
関係するのはニオイではなく、別のものだった。
16歳の彼が見つけたのは、「足の菌」。
実際に、協力者 27人の足の表面をこすり、菌を採取して、培養した。
すると、刺されやすい人と、刺されにくい人で、差が出たんです。
違ったのは、菌の種類。
足の表面に誰もが持っている「常在菌(じょうざいきん)」の種類が違ったのでした。
カリフォルニア大学 アーヴァイン校の、アンソニー・ジェームズ特任教授。
この人は、蚊の世界では第一人者という、すごい人。
そんな人が、日本の16歳高校生の研究について、こうコメントした。
「すばらしい研究です」
「蚊を引き寄せる物質を特定できれば、とても幅広い研究成果に、つながるでしょう」
「私にも、4人妹がいますが、誰も蚊の研究を手伝ってくれなかった(笑 」
「すばらしい業績、おめでとう!」
ガッテンのさらなる調べによると、「蚊に刺されやすい人は、足裏の常在菌の多様性が高い」ということが、分かりました。
菌が作り出す微量な化学物質や、その割合が、蚊を吸血鬼モードに変えるのではないかと、考えられる。
<蚊に刺されやすい人の特徴>
足の常在菌の種類が多い人。

蚊に刺されやすい人は、足の常在菌の種類が、多様なんです。

ガッテン! ガッテン!
□ 蚊に刺されない裏技

上で紹介した妹さんですが、お兄さんのアドバイスで、足をアルコールを含んだティッシュで、よ~く拭いてみた。
これが、効きました。
何もしなかった時は 81か所も刺されたのが、足を消毒したら、1/3以下に激減。
もう一つ、蚊の対策があります。
これは、自然番組班が使っている方法です。
あるものを、シュッと ひと吹きするだけで、蚊に悩まされないようになる。
それは、何か?
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
東京慈恵会医科大学 熱帯医学講座 嘉糠洋陸 教授です。
さて、先ほどのシュッと吹きかけるものですが、それは「ハッカ油のスプレー」。
こういう嫌いなニオイがあると、蚊は寄ってこなくなる。

ハッカ油ですが、スプレーする時は、水やアルコールなどで薄めてください。
揮発しやすいので、こまめに使うこと。
(薄める際の例:精製水を 90ml、消毒用のアルコールを 10ml、ハッカ油を 20~30滴)
<市販品のポイント>
実は、虫よけ剤といっても、タイプが 3種類ある。
「いやがる香り」
「目隠し」
「殺虫」
「いやがる香り」
ハーブ、ユーカリなどの香り。
「殺虫」
蚊取り線香など、蚊を殺すもの。
成分は、ピレスロイド、トランスフルトリンなど。
「目隠し」
成分は、ディート、イカリジン。
つけた部分は、蚊にとって、人間とは見えなくなる。
ただし、使い方には、注意が必要です。
効果がある距離が、1センチぐらいしかない。
なので、塗ったところにしか、効かないんです。
塗ってない部分は、刺されてしまう。
というわけで、目隠しタイプは、ムラなく塗ることが大切。
ハンドクリームを塗るようなイメージで、まんべんなく塗るとよい。
スプレータイプはよく似ているので、殺虫タイプを身体にかけないよう、注意しましょう。
□ 街から蚊を駆逐する方法

ある取り組みにより、蚊の駆除に成功した自治体がある。
東京都品川区では、蚊の意外な繁殖場所に注目し、重点的な対策を行っています。
その場所とは、「雨水マス」。
ここには、ボウフラが いっぱいだった。
蚊の繁殖場所となる雨水マスは、品川区だけでも、3万4000か所もある。
その一つ一つに、ボウフラだけを退治する薬を、まきました。

各家庭で、できることもあります。
庭やベランダにある 鉢受けや、ジョウロに残った水を、こまめに捨てるだけ。
ボウフラが育つ場所を、なくそうというわけです。
品川区では、住民を巻き込んだ活動で、蚊を大幅に減らすことに成功したんですよ。
すごい!


来週は、お休み。
次回は、9月14日の放送になります。
「ついに出た! 新便秘対策で 劇的改善SP」。
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